新型コロナ5類への移行・今後の感染対策・ワクチン接種の是非等について
5月8日より新型コロナ感染症は2類より5類に引き下げられました。
理由は以下の様な事実によるものと思われます。
コロナの致死率は80歳以上に限って述べますと、2年前のデルタ株で7.92%であったものが、昨年からのオミクロン株では1.69%まで低下しております。
季節性インフルエンザで致死率1.73%(80歳以上)ですので、インフルエンザと大差ない致死率となったことが5類に格下げした大きな理由と思います。
しかしながら、コロナとインフルエンザの大きな違いは、
①インフルエンザの流行と異なり、コロナの流行は季節に関係なく何度でも繰り返す、
②感染力がインフルエンザより桁違いに強い、
③インフルエンザでは発症予防に使えるタミフル等の治療薬がありますがコロナには決定的な治療薬が無い、
ことにあります。
5月8日までに日本国内で3380万人が罹患し7万5千人が死亡しております。
今後第9波、第10波と何度も繰り返して行くものと思われ、日本の累積死亡数は10万人を越えていくと思われます。
100年前のスペイン風邪での死亡数は日本で40万人であったと言われていますので、現時点で我々にとってコロナはただの風邪では無く脅威と言って良い感染症だと思います。
政府としては高齢者の感染リスクには目をつぶり、経済を活性化するためにこの辺でコロナは無かったことにしたいというのが本音なのでしょう。
私は5類移行が妥当とは思いますが、高齢者にとって依然脅威であることは間違いないと思います。
本当の意味での最終的なゴールは、感染者数がごく少数にまで減少するか、あるいは発症阻止可能な治療薬が開発される事でしょう。
当院の方針としては以下の如くです。
当院の患者さんの年代比率で言うと90歳以上がなんと8%程度になります。
私の責任上、高齢者の皆さんに感染のリスクを増やすわけにはできませんので、基本的にコロナ対策は現状のまま継続するつもりです。
発熱患者は従来通り屋外の専用診察室かドライブスルー方式で行ないます。
一方、門番(玄関で対応していた看護師の事です)は廃止し、皆さんに自主的に体温測定と手指消毒を行なっていただきますのでご協力ください。
院内では相互の感染予防のため従来通りマスク着用をお願いします。尚、接触感染の可能性は低いことが分かってきましたので待合室座席等の消毒は中止しますが、スリッパのアルコール及び紫外線装置による殺菌は続けます。
高齢者の方にはくれぐれも罹らない努力をしてほしいのですが、万が一発熱してしまった時にはまず電話で連絡してください。
5類になりましたので、今までと異なり診察や検査等の医療費については自己負担金をいただく様になります。
電話でのご相談の際に自己負担金について説明いたしますので、ご自身で受診の有無を選択していただくことになります。
最後にワクチンについてです。
現在のワクチンには残念ながら感染を阻止する効果は少なく、たとえあっても2~3か月しか持続しません。
このウイルスは抗体が持続しないため、ワクチンどころか感染しても1か月もするとまた感染してしまいます。
現状、ワクチンに期待できるのは重症化を予防する効果が主となり、その効果は1年位持続すると考えられています。
私見ですが、重症化する可能性がある80歳以上の方は最低年1回ワクチンを受けていた方が良いと思います。60代70代の方も同様です。40代以下の人は致死率がほぼ0%となるのでワクチン接種する意味があるかどうか微妙です。50代の方は申し訳ありませんがよく分かりません。
以上のことをご理解いただいた上で各自の判断で行動をお願いいたします。
私達にはコロナ発生当初からできるだけの感染対策を行い、国民の治療に貢献してきたという自負があります。状況は常に流動的ですので、今後その時々にあったやり様を選択していくつもりです。マスコミや政府の言うことと異なることがあると思いますが、どうぞご理解の程よろしくお願いいたします。